マンガ

マンガに浸り続けていて、この二日間で近藤ようこ高橋留美子五十嵐大介を読んだ。すごい。久々に文学的感動を味わっている。

杉浦日向子谷口ジローにも感服した。こんな高みにまでマンガは到達していたのか。パラパラと気に入ったマンガは読んでいたけど、大きな流れ、勢いとして捉えていなかった。不覚である。

小説より数倍も強力な吸引力、訴求力、そして売上げ。

20世紀初頭から始まった日本小説の歴史は戦後、質、量ともにかなり高い位置にあったと思う。マンガは半世紀遅れてのスタートだが、ロックと同様に大衆文化として爆発的に展開した。ロックの震源地はロンドンだったがマンガはこの日本である。欧米の価値判断を伺いながら右往左往してきた明治以降の芸術。それからは低次元と蔑視されてきたマンガが世界を席巻している。

表現形式が辿る、誕生、成長、衰退の変化。そして国力の盛衰。

自分が学んできた「西洋画」を振り返る。

クラシック音楽のコンクールでは東アジアの若者が優勢である。それと同様には語れないが量的には最も多くの「西欧アカデミック絵画」が東アジアから生産されている。(はずだ。)

芸術の価値を決定し、市場をコントロールする一握りの人々。

大衆の人気で左右されるマンガ。地球規模の需要と供給。

こんな時代によく「美術」で、長年やってこれたものだなあ。