S大でのテニス会が中止になっていて当分は再開できそうにない。もちろんコロナである。そして今日は終日雨が降り続いて毎週の日曜テニスもできなかった。
おかげで今日はゆっくり本が読めたのだが、オーストラリアで開かれている大会を先週からずっとWOWWOWで見ていて、一つのことに集中できていない。
もっとも1時間以上椅子に座っていると足が痛くなるので、家の中でもウロチョロしているほうが良いのだが。
最近、小津安二郎の映画がデジタルリマスターでオンデマンド配信されていて、タブレットでひとり楽しんでいる。
「晩春」や「麦秋」など代表作が作られたのは俺が生まれた頃の1950年代だ。
裕福なブルジョア家庭のお嬢様が主役だから、懐かしさを感じることはほとんど無い。
戦争が終わって4,5年でこんな生活が存在していたことが信じられない。
でも踏切や道路標識などに英語が併記されていて、占領直後だとわかる。
家庭の内部が主な舞台で食事シーンも多い。出演俳優も固定されていて、観客は「小津の世界はこういうものだから、それを味わおう」として見に行ったのだろう。
淡々とした会話、水平垂直の室内構図、ところどころに挿入される風景など一目でわかる小津ワールド。「浮草」は大好きな作品で何回も見ているが、この機会に他の作品もじっくり見ておこう。
この同時期には黒沢が「羅生門」で世界的な評価を受けて、日本人を元気づけた。
50年代は映画、芸術の興隆期だったのだ。オリンピック以降、もっぱら経済や工業にばかり志向していくが、50年代を忘れてはいけないな。